2016/11/13

「レジャー白書2016」 パチンコ編 日本最大のレジャー産業の斜陽

「レジャー白書2016」 パチンコ編 日本最大のレジャー産業の斜陽
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161111-00115863-hbolz-soci

パチンコが今もって、日本最大のレジャー産業であることは間違いがない。

 日本生産性本部が発行している「レジャー白書2016」においても、その市場規模はいまだ23兆円を超える。観光・旅行等の気軽なレジャーの参加人数(国内観光旅行5400万人)に比べれば決して多くはないが、それでも参加人口はゴルフの参加人口のピーク時の人数と同等の1080万人である。

 レジャーの多様化、若者のパチンコ離れ、射幸性の向上など、様々な「パチンコ危機」が業界内外から指摘されるなか、実際の業界内部はどのような状態なのだろうか。

 パチンコのピークは1995年である。市場規模は30兆円と言われ、参加人口も2900万人、日本人の4人に1人はパチンコをやっていた。店舗数も全国に18000店舗あり、まさに飛ぶ鳥も落とす勢い。それから20年、市場規模は23%縮小、参加人口に至っては60%以上も減った。店舗数もいまや1万店を切るのは時間の問題だと言われている。産業縮小のスピードは加速していると言っても過言ではない。

 「レジャー白書2016」で指摘された、特に深刻なポイントは、一人当たりの参加回数とその費用である。年間の活動回数は前年22.8回から32.4回に増加。一方で1回あたりの平均費用は前年の3750円から3080円に減少。1人あたりの年間平均費用は9万9800円、前年から1万4600円も上昇したことになる。

◆業界の問題点は二つ

 問題点をいくつか洗い出す。

 まず一つ目は、パチンコのメインユーザーである一般サラリーマンや高齢者の可処分所得がほぼ変わらないなかで、費用が1万5千円も上昇したこと。ここには、パチンコ業界が抱える「のめり込み(依存)」の問題が見え隠れする。今年3月の国会でも、この「射幸性」と「のめり込み・依存」の問題が取り上げられている。

 二つ目は、上記の数値には、パチンコの「換金システム」が考慮されていないこと。パチンコはあくまで娯楽であってギャンブルではない、という体裁の上になりたってはいるが、実際には「三店方式」と言われる「換金システム」が存在する。年間消費金額の10万円が、単純にパチンコ店の売り上げを意味する数字なのか、換金額との差し引き金額なのか定かではないし、統計のサンプルとなる返答をした客の返答もまちまちであろうと想定できる。実際にはより多くの金額を一時消費している可能性もあれば、その逆も考えうるのだ。要は参考数値としか言えないという現状だ。

◆カジノ議論で避けて通れないパチンコ問題

 兎にも角にも、パチンコ業界が抱える最大の問題は、その「射幸性(≒ギャンブル性)」であり、この問題は2017年以降、日本におけるカジノの設置問題と相まって、その深刻さをより増していくだろう。国会でカジノ議論が活発になればなるほど、ギャンブルとしてのパチンコが引き合いに出される。業界を管轄する監督官庁でもある警察庁が憂慮しているのも、「体裁の娯楽」と「本質のギャンブル」の矛盾を突かれることであり、だから業界に対する締め付けも自ずと強くなる。

 当面の問題は、2016年末までの遊技機撤去の問題。警察庁が指摘した「検定機とは性能の異なる可能性のある遊技機」-メーカー出荷時に法律で許可した仕様とは異なる形で納品された(可能性のある)遊技機を、パチンコ業界は年末までにすべて撤去しなくてはならない。その数、約70万台。対象となっている遊技機は、MAX機と呼ばれている、射幸性が一番高いもの。パチンコ店の売り上げを牽引してきた遊技機の撤去は、来年以降の業界の下降スピードを一層加速させる可能性が高い。

 時の栄華を誇った、一大レジャー産業の斜陽。パチンコ業界の課題は、減り続けるお客様をいかに食い止め、いかに増やすのかという問題では終わらない。カジノを見越した政治との兼ね合いのなかでも、今後の業界は翻弄されていくだろう。

<文/安達 夕 写真/Caito>

引用:

「レジャー白書2016」 パチンコ編 日本最大のレジャー産業の斜陽
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161111-00115863-hbolz-soci

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